六本木 福鮨

お鮨が食べたいわねー、と友人たちと意見が一致して久しぶりに
六本木福鮨でランチをしてきた。
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20年以上前、まだ私が仕事をしていた頃、ここには何度か夜の演奏会の後で
オーケストラの重鎮の偉い先生方に連れてきていただいたことがある。
ここの大将が音楽好きの方で、演奏家たちとお友だちだったこともあるし、
また若い演奏家も可愛がっていらして、バリバリ頑張る私の友人や後輩などはちょくちょく
まだ20代半ばなのにカウンターに座ってつまみで飲んだり握ってもらったりしている、と聞いて
私などは・・・い、いくら払うのだろう・・・005.gifとびっくりしたけれど、
今思えばきっと若い音楽家応援価格でいただいていたのだろう。
私はそういうカッコイイ若者でなく、いつも大勢で連れてきてもらう人だった。
お店の隅の一角にチェロやバイオリンや管楽器のケースをずらっと並べて
ビールや日本酒を飲みながら先生方のケタはずれな面白いお話
(超一流演奏家は皆ユニークで武勇伝の塊りなのだ)を大笑いしながら聞く人。
もちろんその日の演奏の話とか、練習の仕方とか、貴重なお話もたくさん伺った。
私の人生のひとつの黄金期だったと思う。

時間が流れて10年後、私はいわゆる「ママ友」たちとランチを楽しむただのお母さんになった。
そしてその10年の間に、いつも「まみみも行くか?」と誘ってくださった
大尊敬の大好きな先生は思いがけない病気で50代半ばでこの世を去って行かれた。
懐かしの福鮨。家は近いのに、近くて遠くなった福鮨。

そんなある日、友人の提案で福鮨にランチに行くことになった。
10年ぶりにお店に入った。
当然ながら昼間の顔は夜とはまったく違い、ほぼ満員のお客さんの9割以上が女性。
明るい店内に明るい話し声。
でもまったく違う雰囲気でも、テーブルもいすもカウンターも・・・懐かしい・・・
そのころは正直、まだお母さんだけになった自分の状況に少しの後悔や悲しさがあったので
お鮨が美味しい!というよりもっと複雑な思いに圧倒されていたと思う。

その後も何度もランチに行くようになり、私は自分を取り戻しつつあった。
頼まれて小さな集まりながら人前で演奏する機会にも恵まれた。
お母さんを二の次にして練習しまくる日々も時には送れるようになった。
そしてある日、小さなリハーサルの後、久々に楽器のケースを持って福鮨にランチに行った。
席に座る前、長四角のちょっとかさばるケースをどこに置こうかしら、と足元を見ていると
ランチのときはあまりお見かけしない大将がさっとこちらにいらした。
「こっちに置いておこう。大事な楽器だからね。」とおっしゃって
いつものお店の隅にそっと置いて下さった。
・・・覚えてくださってる?まさか・・・
大将にあいまいに会釈すると、大将もうなずいてくださった。と思う。
本当のことはわからない。多分違うと思う。
でも私の中では、大将は覚えていて下さった、と思い、
あのころの自分とその時の自分が別物ではなく、同じ続きの自分なんだと思えて
なんだかとてもとても嬉しかった。

その日からも10年経って、今もときどきランチに伺う。
ランチは握り、ちらし、穴子重、各2625円。(鉄火重3673円もあるけど)
この3種類、どれも本当にたっぷりで美味しくて迷いに迷う。
そして、う~ん、今日はこれだからあれは次、と思いながら決める。
(ちなみに今日は穴子。次は握りの予定(^^))
最初に出る茶碗蒸しも美味しいし、食後はとなりのラウンジ風の部屋に移って
コーヒー紅茶とデザートがいただける。
これがとても嬉しい。和食の最後にちょっとコーヒー飲みたいな、って思うことが多いから。
ゆっくり過ごしてこのお値段、コスパ最高だと思う。

もはやママ友ではなく、私の本当に大切な友人になった人たちとゆっくり美味しいランチ。
しあわせだなー、と心から満足の午後でした。

by mamimi-loves-leo | 2010-06-07 20:29 | お出かけ | Comments(2)

Commented by JINパパ at 2010-06-08 21:07 x
お寿司の後にラウンジ風の部屋に移ってコーヒーって素適ですね。HPも見て来ました・・・行ってみたいお店にリストアップしときましたよ。日曜日六本木に行くのでって思って見たらお休みでした・・・月曜はばたばたで帰る日なので次回にチャレンジしたいです。高尚な音楽をされてるのですね・・・敬服致します。外道な音楽に浸かっていた私には・・・しかもこの前中学生の子の授業の発表の為にって知り合いに頼まれギター教えたんですけど、20数年ぶりの固まった指&汚い骨董品の掃除で大変でした。楽器ケースをテーブルみたいにしてた私の青春時代と、オーケストラの重鎮の方と楽器を持ってお寿司屋さんってその差に愕然としちゃいました。でも素適なお話ですね・・・でもどんな形でも続けられる事って素適ですね。諦めちゃう事ばかりが多い人生ですからね。外道な音楽を齧っただけの私も10年ちょっと前単身赴任で数年間神戸で暮らしましたが、よなよな神戸のジャズメンとそのおかげで飲み明かす楽しい時が過ごせましたけどね。遠い過去において来たものは沢山有るけど、いつまでも持ち続けてるものって案外少ないですから自分のペースでいつまでも続けて大切にして下さいね。
Commented by mamimi-loves-leo at 2010-06-09 08:32
JINパパさん。
ギターをお弾きになるのですね!固まった指、よーくわかります。
私も10年近いブランクの後ちゃんと練習しようと思ったら自分の指とは思えない動きにびーっくりしました。しばらくは練習と言うよりリハビリでしたよ。
私も一時、ジャズバンドのストリングスのお仕事していたことあります。ホテルのラウンジで週末の夜演奏する楽団でした。楽しかったですよ、クラシックとはまた違って。お客さんとして行くホテルと、仕事場として(業者として)行くホテルの裏側の違いとか、社会勉強にもなりましたし(^^)
六本木にいらっしゃるのですか?!私のナワバリですよ♪
また最近ずいぶん変わっちゃったので驚かれると思います。カラオケやだらけです・・(+_+)
交差点近くのミッドタウンの裏手の檜町公園(草薙君がつかまっちゃった所)はれおのお気に入りの一つです。
JINくんがご一緒ならご案内するのにお留守番ですよね、残念です~(^^ゞ