いにしえの人の心

4月14日朝。
私はいつもどおり娘たちの朝の準備をして送り出し、
夫はせめてもの罪滅ぼしにと、6時過ぎからたっぷりれおとお散歩。
それでは行ってきます~
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東京発9:00の「のぞみ」で京都へ。
4月にしては寒いけれど晴天。
後輩M氏との待ち合わせは夕方4時半だけど
普通の平日に休みをとることなんて
ぜーーーったいしない夫の奇跡的行動を
フルに有効利用するべく、例によって私の
情熱的下調べと提案・検討の結果・・・

京都駅内の「ウェスティンホテル・サテライトコンシェルジェ」に荷物を託して(1個300円)
そのままJRで「山科」、地下鉄東西線に乗り替え「醍醐」へ。

いにしえの人の心_a0157174_924859.jpg 醍醐寺

秀吉の催した「醍醐の花見」で知られた
真言宗醍醐派の総本山。
醍醐山すべてを寺域とする広大な寺で
山麓の下醍醐から山上の上醍醐まで
歩いて1時間以上かかるという。
今回は時間がないので下醍醐だけ。
いつかゆっくり歩いてみたい山寺だ。
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二度の焼失後、秀吉の命によって
1600年に完成した金堂
951年に完成した京都最古の木造建築
五重塔が国宝。
去年春のJR「そうだ京都行こう」CM の舞台であったことで、桜の時期には
「東京から客がアホみたいに来よる」(タクシー運転手談。おもしろい人だった)そうで
桜が終わっていて寂しいけど、ゆっくり空気にひたっていられて、むしろ幸せでした。

醍醐寺が伝承している10万点以上の仏像・絵画等の寺宝を収蔵、展示している霊宝館
そこをさっくり拝見して、次に行こう・・・と入ったのですが・・・出てこられませんでした。
「本物」の発信するメッセージの強さ。一つとして受け流せないのです。
9~10世紀の名工たちの残した仏像。信仰をもっていない私にさえ聞こえてくるようなナニカ。
指先、まなざし、たたずまい。
人もまばらな静かな中で、じ~っと見つめてしまいました。やどってる・・・。

慶長3年、醍醐寺で催された、日本史上最大の豪遊とも言われる「醍醐の花見」
秀吉が1300人以上の侍女たちを従えて行ったこの花見のために、
近隣から700本もの桜を集めたというが、しょせん今となっては「歴史上のできごと」の一つ。
そのとき女性たちがしたためた和歌の短冊も、たくさん残され保管されている。
北の政所、淀殿、その他たくさんの側室、侍女・・・
皆さん達筆だなー、和歌が苦手だったら辛いだろうなー、ぐらいな気持ちでささっと拝見。

ところが。日記です。
当時の醍醐寺の座主であった80代義演准后の日記が、実にきれいに残されているのです。
もちろん達筆すぎてまったく読めませんが、部分的に口語訳されたパネルが隣に置いてあります。

醍醐の花見から遡ること一年。慶長2年3月(現4月)。
突然、まったく前ぶれなしに太閤秀吉様がやってきた、と。驚くことこの上なし。
とにかく慌ててお掃除を命じてなんとかすませた。
桜をご覧になって機嫌よくお帰りになった。よかったよかった、という感じ(私の意訳です)
わかる~!わかるわ~!
義演さんは、応仁・文明の乱のあと荒れ果てていた醍醐寺を復興した中興の祖といわれるお方。
その大きな後ろ盾が豊臣秀吉、彼の帰依なしにはできなかったでしょう。
その人が突然来ちゃった。抜き打ちチェック?!
慌てたでしょう、それはそれは。あー、なんて人間的。
しかも、そのときに、家康も随行してきているのです。秀吉が家康を連れて。物語のような事実。
迎えた方の人間的記述によって、すべてが物語から生活・日常に変わっていく。

そのとき秀吉が気に入ったからこそ、綿密に用意された翌年の花見があったのでしょう。
もちろんその日の記述もあります。太閤殿、一日中楽しまれた。よかったよかった。
女性たちの席順も残っています。あちらを立てて、こちらを立てて。
外伝では、杯の順番について、正室北の政所の次を淀殿と松の丸殿が争ったとか。
そんなこともあったでしょう、きっと。
そんな目で見ると、先ほどの短冊が急に興味深く見えてくる不思議。
たくさんの侍女たち。政所の侍女。淀殿の侍女。この側室の侍女。あの側室の侍女。
みんな張り切ったのだろうなー。
せっかく連れてきていただいた、この日の感激をなんとか表したい!お目にとまりたい!

そういうわけで、予定時間を大幅に過ぎて、やっと霊宝館を後にしました。
お天気も良かったし、のんびり歩くはずが、タクシーをひろって移動。
小野小町ゆかりのお寺をささっと見学して(しょせん伝説だからね)、再び地下鉄東西線に。
「蹴上」で降りて、ウェスティン都ホテルにチェックイン。休む間もなく「夜の部」への支度・・・
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             霊宝館まえの枝垂れ桜。数本だけ残っていてくれました

by mamimi-loves-leo | 2010-04-16 12:50 | お泊まり | Comments(2)

Commented by まろん at 2010-04-16 15:45 x
お帰りなさい!
素敵な旅だったようですね。
京都は本当特別な場所ですよね。
私もとても感じるところがあります。
夜の部も興味深いです。
ご夫婦の二人旅というのも素敵。
実は昨日京都の夢を見ました。
広い山間の原っぱで、満開の桜を見上げながら
うわ~!って叫んでる夢でした。
まみみさんのブログを読んでいたからですね。
やっとなぞが解けました~。
Commented by mamimi-loves-leo at 2010-04-16 19:45
まろんさん♪
京都は特別ですよね!
盆地で山に囲まれているのも素敵。緑の縁どりに守られていて、
特別の空気が保たれているような気がします。
まろんさんの夢も素敵☆ 気持ち良さそう~!!
広い山間の原っぱ、京都に間違いないわ。その通りのところだもの。
うわ~!って言ってたのかしら?実際に(^O^)
夜もね、特別でしたよ。ぽっと出の闖入者目線でご紹介します~